ウスケバ・ロゴ ウスケバ・ロゴ ウイスキー造りに欠かすことの出来ない「水」そして「樹」。自然の力が生み出す「生命の水」。

2008年04月04日

ダブルマチュワード-Sherry2

第一章 First Order ファースト・オーダー



彼女とは、僕が企画したツアーで知り合った。
バー好きがこうじて「ウィスキー蒸留所見学ツアー」を企画し、その添乗員も勤めた。

スコットランドで蒸留所を見学し、ロンドンのパブを巡り、最後はパリでワインという企画だった。
企画はよかったが、蒸留所見学が予定より少なくなり苦肉の策でパブとワインをくっ付けた。

参加者は20名男性が中心だったが、女性も何人かいた。
その中に若い女性はたった一人彼女だけだった。

グループでの参加も多かったので、単独の若い女性参加の彼女には興味を引かれた。
ツアーコンダクターとして、一人での参加の方にも楽しんでいただく事も大切だと考え
何かにつけ彼女に接した。

最初にスコットランドで蒸留所を見学したあと、ロンドンでパブ三昧、そしてフランスはパリへ。
すでに出発から4日も経っていた事とロンドンパブでのエール三昧で参加者の皆さんと
大分打ち解けていた。

パリでは基本自由行動だったので、グループで参加の方はそれぞれのコースで
出かけていった。
私は定年退職の記念旅行で参加された年配の高橋ご夫妻と朝のカフェの後、
一緒に買い物に行くことになっていた。

「あの、竹原さん私もご一緒させてもらっていいですか?」

彼女からの申し出があった。

「どうぞ、私の案内でよろしければ」

彼女はすごく感じがよく、参加者にも人気だった。
僕たちは朝ごはんにカフェに行った。

「パリの基本はクロワッサンにカプチーノです。それで皆さんよろしいですか?」
「もちろんです。」

4人で旅行を振り返ったり、この後の予定を話したりしながら朝のひと時を過した。
おとなしめの彼女はさほど感情を見せる事は無かったが、時折みせる笑顔の奥の淋しげな
感覚が気になった。

「竹原さんはよくパリにはいらっしゃるのですか」
「パリは三回目です。僕はロンドンの方が多くて今回の企画は僕が立てたのですが、
パリに行きたくて無理やりねじ込みました。」

正直な方だと高橋夫妻は笑っていた。
オープンカフェから見える風景にはゴールデンウィークと言う事もあり日本人も多く見受けられた。

「鈴木さんはお買い物の希望はありますか?」
「せっかくなので、ブランドを見たいのですが・・・」

意外だと思った。てっきり何か可愛い雑貨のお店とか言われると思っていた。

「さやかちゃんはブランド好きみたいね。私と同じでよかったわ。」

高橋夫人がやさしい笑顔で言った。
言われてみれば、彼女の持ち物のあちこちにブランドのマークが踊っていた。

「では、パリでの買い物に当たってルールを、必ず挨拶をして入店してください。
そして他のお客様が居る時はこちらからは話かけない事、そして最後も挨拶です。
ボンジュールとメルシーです。」

僕はこれからのルートを説明した。メトロよりバスと船が便利なので観光ついでに
行くことを提案した。

「では、一日よろしくお願いします。」

その日は天気もよく、パリをみんな楽しんでいた。
凱旋門、エッフェル塔、サンジェリゼ通りと観光し買い物を楽しんだ。
高橋夫妻は本当にいい方で僕は仕事だという事を忘れるくらいだった。
ランチはセーヌ川のほとりのビストロで済ませた。

「何だか子供達と旅行してるいみたいで楽しいわ。」

高橋夫人は食後のエスプレッソを飲みながらいった。

「私も本当に楽しいです。」

彼女の笑顔がだんだん変わってくる感じがしていた。

「では、昼からは買い物三昧といきます。」
「竹原くんと私は荷物持ちだな、ハッハッハ」

高橋さんが大声で笑った。
僕達もつられて笑いあった。
ヴィトンにエルメス等など、ブランドショップを渡り歩いた。
僕は一応、仏語は出来るので通訳しながら付き添った。
彼女も少しは喋るようで悪戦苦闘しながらコミュニケーションをとっていた。

「それは彼女にですか?」

ポーチを見ていた僕に彼女が肩越しに話しかけてきた。

「いえいえ、妹にです」
「妹さんですか、やさしいお兄さんですね。」
「5つ下なんですが、うるさいんですよ。パリだと言ったらリスト渡されました。」
「5つ下ですか、私と同じ歳かな?一人っ子の私にはうらやましい話です。」
「鈴木さんみたいな妹だったらよかったですけどね」
「ツアコンってお世辞も言うんですね」

彼女の笑顔が明るくなっていた。

午後5時
そろそろホテルへ帰る時間だった。
僕達は沢山の紙袋をもってバスに乗った。

「今日は満足満足」

高橋夫人は笑顔で買い物したものを眺めていた。

「私も満足です。美味しい食べ物と観光に買い物、贅沢の極みです。」
「竹原君のおかげだよ」
「ありがとうございます。そう言ってもらえるとうれしいです。」

ホテルに戻ると僕はツアコンとしての業務に追われた。
午後7時に夕食、ホテルのレストランでのこのツアー最後の晩餐です。
皆がそれぞれ今日の観光の事を喋りながらワインを飲んでいた。
無事にツアーが最終日を迎えられて僕は少し安堵していた。

「皆さん、パリの夜はまだまだ長いですが、明日の集合時間だけはよろしくお願いします。」

夕食のあと皆、最後のパリの夜を満喫しに出かけた。

「竹原さん、この後はどうされますか?」
「明日の段取り確認したらバーにでも行こうと思っています。」
「ご一緒しても・・・」

彼女の笑顔は可愛くなっていた。  

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2008年03月30日

ダブルマチュワード-Sherry1

DOUBLE MATURED - SHERRY



前書き

第一章 First Order ファーストオーダー



 会社を出たのが6時ちょうどだった。
先週くらいから寒さはピークって感じで雪もよく降るようになっていた。
僕はコートの襟を立てて寒さをこらえながら人ごみを歩いていた。

今夜は彼女と待ち合わせをしている。
僕から「逢いたい」といって約束をした。
23時に「エンドスケープ」で!

お互いの仕事の終わる時間に余裕を持っての事だったが、それとは別に
少し気持ちの整理をする時間が必要だった。

彼女と付き合いだしてもうすぐ4年になる。僕も32歳になり、仕事も安定してきた。
そろそろ次のステップを求めてもいい時期かなと思い始めていた。

待ち合わせは西麻布、俺は渋谷駅を超え六本木通り面したバーに向かっていた。
そこで一杯飲んでからタクシーで行けばいいと思っていた。

その店は仕事帰りにちょくちょく立ち寄るバー「ストーンフラワー」だった。
バーテンダーは世界チャンピオンというお店だった。

「いらっしゃいませ」

店内は6時過ぎだと言うのにかなり賑っていた。
マスターがカウンターの空いてる席に誘導した。

「こんばんは」

「竹原さん、今日はお早いですね。」

オーナーバーテンダーの西垣さんがいつもながらにきっちりとしたベストに
ネクタイ姿で前に立った。

「今夜はこのあとに大仕事があるので少し早めにここでリラックスしようと思いまして」

西垣さんは笑顔で何かを察してくれた感じだった。
僕はスコッチハイボールを注文した。
ビールが苦手な僕の一杯目はこれに決めていた。

小さく細かい泡が無数に上がっていくのを見ると、何だか心が落ち着いた。

僕がバーに来るようになったのは、大学2回生の頃だった。
居酒屋しか知らなかった頃、同級生にちょっと大人びた奴がいて初めて連れて行ってもらった。
普段の自分には無い世界がそこには広がっていた。
少し憧れはあったのでそれからはバーにはまった。

「今宵はXデーって感じですか?」

「そのつもりなんですが・・・」

「ゆっくり気持ちを整理していってくださいね。」

バーに来る理由、お酒を飲みに来るのはもちろんだけど、気持ちの切り替えや、
悩みの解消の糸口を見つけになど色々ある。

僕と彼女の4年あまりが詰まったバー。その店がバー「エンドスケープ」だった。

思い出の詰まったお店で結論を出すつもりだった。  

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2008年03月30日

ダブルマチュワード-Port1

DOUBLE MATURED - PORT



まえがき

第一章 First Order ファースト・オーダー



憂鬱なのは、新月のせいじゃない。

待ち合わせは、西麻布のバーで、23時。
時間まで、まだずいぶんあった。久しぶりに、銀座を歩く。
街は相変わらず、華やかなイルミネーションで上品に彩られている。
そういえば、初めてのデートは銀座で映画を観たんだった。
珍しく話題の邦画を選んで、二人で号泣した。今思うとちょっと可笑しい。

お気に入りの店を何件が覗く。
いつもなら何かひとつは衝動買いしてしまうところなのに
今夜は、新作のゴージャスなバックも、春物の白いワンピースも、上質なエナメルのパンプスも、
全てがよそよそしくて、他の誰かの為にあるように思えた。

憧れのジュエリー・ショップのショウ・ウィンドウはいつも素敵。
その前にしばし佇む。いろいろなことが、頭をよぎった。

少し歩き疲れて、洒落たビルの8階にあるワインバーに入ることにした。
スタッフは女性ばかりの、居心地のよいバー。一人のときはいつもこの場所に立ち寄る。
ここに来ると安心する。忙しくない時間帯にはカウンターをはさんで、話し相手にもなってくれる。

「シャンパーニュと前菜の盛り合わせを。」
「かしこまりました。只今、テタンジェですが、よろしいですか?」
「お願いします。」

ソムリエールの遠藤さんが、いつもより無口な私を心配する。

「さやかさん、今日、なんだかちょっと元気ないですね。」
「え、そうですか?そんなことないですよ。」

微笑んで返してはみたが、次の言葉が見つからない。
元気がないのは事実だし、その理由もわかっている。

「ごゆっくり、されてくださいね。」

背の高いリーデルが、思い出と未来の狭間で光を放っている。
細やかな淡いゴールドの泡だけが、今、まさに、ここにある、一瞬の現実。

泡は、どこからともなく次々と生まれ出でて、静かに消えていく。
これほどに、この社交的で贅沢なお酒が、儚く頼りないものに思えた夜があっただろうか。

JBLを通して、エラ・フィツジェラルドが『バーモントの月』を奏でている。

今夜私は、 ひとつの決心をしている。  

Posted by novelist at 01:00Comments(2)TrackBack(0)PINOKO

2008年03月30日

まえがき

この度、ブログへの短いコメントからアイディアが生まれ
新しいブログを立ち上げることができました。

扉を開けたときのえもいわれぬ香り、ゴールドに輝くシャンパン、
鮮やかな色とりどりのカクテル、琥珀色のウイスキー、
ウィットに富んだ粋な会話、心癒される音楽、
それらの傍らに、今夜もどこかのバーで、素敵な物語が生まれています。

そんな物語のワンシーンを、稚拙な文章ではありますが、
楽しく書き綴っていけたらと思います。

そして最初の物語は、私にとっては初めての試みである「コラボ小説」。
NHが男性側(Sherry)の視点で、PINOKOが女性側(Port)の視点から
お互いの想いのままに、それぞれが自由な展開で書き綴っています。

現時点で、ラストシーンが決まっていない「ダブルマチュワード」
読みにくいところも多々あるかとは思いますが
なにとぞおつきあいくださいませ。

PINOKO  

Posted by novelist at 00:01Comments(8)PINOKO

2008年03月30日

前書き

新しくブログを立ち上げました。

ひょんな事から、コラボ小説を書く事になりました。

NHPINOKOのコラボです。

1つの物語を男性側(Sherry)女性側(Port)の二作品で書き進めていきます。

同じ物語が、違う感情で進んでいきます。

ウスケバという事でバーとお酒を中心に話は進んでいきます。

いつもお目にかかってるブログとはちがいますが、お付き合いください。

素人小説ゆえに至らぬ所も山の様にあるかとは思います。

どうぞ最終話までお付き合いください。

NH  

Posted by novelist at 00:00Comments(4)NH