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<title>グラスに映る物語</title>
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<description>淋しきノベリストたちが綴る、バーとお酒をテーマにしたフィクション。今夜もどこかのバーで物語が生まれる。</description>
<language>ja</language>
<pubDate>Mon, 10 Mar 2008 22:37:55 +0900</pubDate>
<lastBuildDate>Tue, 11 Mar 2008 20:23:22 +0900</lastBuildDate>
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<title>ダブルマチュワード-Sherry10</title>
<description>最終章　Double Matured ダブル・マチュワード外へ飛び出した。雪はさっきよりも重く、冷たく感じた。何故、飛び出した。ここ数日、今日の事を考えてばかりいた。彼女はきっとOKしてくれ、高い指輪をねだられるだろうと思っていた。実際は彼女が一年もロンドンに行くという想定外の話だった。怒りとも取れる感情が噴出した。こんな気持ちになったのは付き合いだして初めての事だった。自分の思いをさえぎられた様な気がした。いつもの僕なら「行っておいで、一年待ってるよ」と言えたに違いない。結婚と言う言葉を口にした自分にとっては、受け入れがたい現実だった。西麻布の交差点、愉快に笑う人々が気になっていた。少し、歩いたおかげで気持ちが落ち着いてきた。人間って後悔する動物だ。店を出てきた事に後悔していた。一年は長いようで短い。「結婚準備しながら待ってるよ」そう言うべきだっただろう。僕にとって彼女は何者にも変えがたい大事な存在。わかっていて、素直になれなかった。いや、素直になってしまった。それだけ彼女を愛していたのだろう。店に戻りたかった。彼女はまだ居るだろうか？『エンドスケープ~最後に見た風景~』皮肉な店名だな。4年近く年月ではまだまだ足りないのかもしれない。バルベニー12年　ダブルウッドの様に二つの樽の絶妙なマチュワードにはならなかったかもしれない。でも、あと一年の月日は絶妙なバランスを生むかもしれない。二人のダブルマチュワードは少し早すぎたのかもしれない。僕と彼女はダブルマチュワードできるだろうか？シェリーとポートの個性の違いはいつしか最高の一杯になる。人生には少し寝かせる時間が必要なのかもしれない。「行っておいで、僕はさやかが好きだから・・・」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜完＞</description>
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<pubDate>Fri, 30 May 2008 00:00:00 +0900</pubDate>

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<title>ダブル・マチュワード-Sherry9</title>
<description>第５章　Last Order ラストオーダー１マスターに合図をした。いよいよその時が来た。二人の前に２つのシャンパングラスとテタンジェが置かれた。サンジェルマンのあのバーで見た風景と同じだ。「何、いったい？」彼女は驚いた様子で僕を見た。「いいから、いいから」目の前でバーテンダーがよく冷えたジンをシャンパングラスに注いだ。とろ～とボトルから流れ落ちるジンは何とも美味そうだった。テタンジェのコルクをゆっくりと開ける。音が鳴らないようにガスを抜く。フランスではコルクを抜く時に音がなるはもっとも下品な事だという。ジンに合わさるシャンパン「フレンチ７５」彼女との思い出のカクテル「これを初めて飲んでから、もうすぐ4年だね」グラスの中には思い出という無数の泡が立ち上っているようだった。「今日はどうしたの？何だかおかしいよ」おかしくもなる。何せ生まれた初めての事をしようとしているのだから。言葉を口にしようとするが、なかなか言えない。どうしてだろう？迷ってる？いや、単に緊張しているに違いない。言葉にした瞬間後戻りは出来ない。生か死か、それとも明か暗か？大学の時に付き合っていた彼女に「結婚しよう」と言った事がある。その時は、ただ好きだという感情からだけだった。後先なんて考えてなかった。その時、彼女に言われた。「結婚てそんなに簡単なの？」簡単。そりゃそうだ！簡単なんかじゃない。その時の僕にはわからなかった。でも、今はわかる気がする。さやかと出会ってからは。２フレンチ７５を口にした。ジンの香りに混じってぶどうのかすかな香りが鼻腔を刺激する。心が落ち着いた気がした。彼女の横顔を覗き込んだ。２３時を過ぎた週末の店はにわかに賑っていた。「さやか、話しがあるんだ」僕は彼女の方を向いた。「もうすぐ４年になるね。さやかと出会えた事で僕は大人になれた気がする。」彼女が身構えた気がした。「さやか、結婚しないか」考えていたセリフではなかった。彼女がロングヘアーをかき上げて、グラスを見つめた。今日、ここへ来るまでに何度も創造した光景ではなかった。僕には彼女が困った表情に見えた。まさかの沈黙に僕も絶句してしまった。時が止まったようだった。「私も話があるの」心臓の鼓動が早くなっていくのがわかった。「４月からロンドンに行く話しがあるの。」言葉が出なかった。急に酔いが回ったみたいに身体が熱くなった。彼女はおとといロンドンに行く話しが上司からあり、自分は行ってみたいと告げた。期間は一年間。黙って話を聞いていた。彼女にとっての僕の存在は何だろう？僕にとっての彼女は愛しく大事な存在！氷を割る音が響いていた。言いたい事を飲み込むのに必死だった。口に出せば余計な事まで言いそうで怖かった。彼女は僕を見ようとはしなかった。何故、今の時期に海外なんだ！止め処も無く色んな感情が噴出していた。自分がいやな男になっていく感じがしていた。「話はわかったよ」もうこれ以上は聞きたくなかった。「さやかは行きたいんだよな。それでどうする？」プロポーズの場は一転して、別れ話の様相に変わった。一年は長いか短いかは実際になって見なければわからない。ロンドンに行くという事が、どうのこうのでは無い。どうして今日のこのタイミングなんだ。どうにもそれが引っかかっていた。彼女も困惑しているのがよくわかった。いつもの様に彼女を包んであげれる余裕が僕には無かった。「結婚は出来ないって事か？ロンドン行くからそれを伝えて別れ話でもするつもりだったか」いやな男に成り下がっていく。もう自分の感情が抑えられなくなっていた。火をつけたタバコを吸う事も忘れていた。これ先に彼女の口から漏れる言葉が聞きたくなかったのか、身体は勝手に席を立っていた。会計を済ませた。「マスター、ごめん。あと頼むね」いきなりの行動に困惑気味のマスターに声をかけて店を後にした。店内には人々の会話に混じって「マイファニーバレンタイン」が流れていた。</description>
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<pubDate>Mon, 26 May 2008 00:00:00 +0900</pubDate>

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<title>ダブルマチュワード-Sherry8</title>
<description>第四章　Fourth Order  フォース・オーダー２そういえば、今日はジンを飲んでいない。ジン好きの僕とシャンパン好きな彼女が出会って飲んだカクテルがフレンチ７５なかなか運命的だと思うのは僕だけだろうか？「いらっしゃいませ」扉から見えた顔は彼女だった。僕は軽く手を上げて笑った。自分の気持ちが高揚していくのがわかった。大またで歩いてくる彼女を僕は見ていた。4年で綺麗になったなぁと思っていた。「お疲れ」「早く来てたの？」「さっきだよ」少し暗い表情の横顔が気になった。「グラスもう入ってないよ」「さやかは何飲む？俺はジンリッキーもらおうかな、少しパルフェタムール垂らしてもらえる」僕なりのメッセージだった。「今日はおしゃれだね。私はブルームーンください」おいおい、知らないにしてもそれは無いだろう。ブルームーン、出来ない相談少しテンションが下がった。今からの話の腰を折られた感じだった。お互いに違う意味のカクテルを飲みながら、少し話しをした。どのタイミングで切り出そうかと考えていた。「来月から本社に戻ることになったよ。一応、栄転だよ」彼女の指に光る指輪を見ていた。誕生日に買ったものだった。今振り駆れば、よくおねだりされたものだ。なんだかんだと記念日にはこれがいいとかあれがいいとかね。特にわがままだと思った事はない。彼女におねだりされる事は、何だかうれしく思う事も多かった。本当は指輪を用意しての話にしたかったが、好みに合わないといけないので後に買うつもりにしていた。「給料も少し上がるんだよ」お互いのグラスは残り少なくなっていた。そろそろ本題に入ろうとじっと彼女の横顔を見ていた。</description>
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<pubDate>Sun, 18 May 2008 00:00:00 +0900</pubDate>

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<title>ダブルマチュワード-Sherry7</title>
<description>第四章　Fourth Order  フォース・オーダー１タクシーを降りると雪がチラチラ降っていた。寒いのは好きではないが、やっぱり冬は雪が降らないと感じが出ない。「雪か・・・」「いらっしゃいませ」エンドスケープは賑っていた。店内にはシガーの香りが漂い僕の鼻腔をくすぐった。「待ち合わせですか？」「ああ、彼女とね」オーダーを考えていた。彼女を待つまでの時間の最後の一杯になるはずだ。すでに３杯飲んでいるし、酔った勢いでする話でもない。「シェリーソーダをください。」最後に気持ちを整理していた。ソーダの立ち上る泡は心を落ち着かせた。「今日はテタンジェ有る？」「ご用意してますよ。」「後でそれでカクテルお願いしたいんだけど」「喜んで、フレンチ７５ですね。」すこし、さっきアマレットを飲んだ事を後悔していた。「アマレットって友達以上恋人未満って意味があるんだって」「ヘルメスってリキュールは商業旅行の神様って意味あるんだよ」お互いに知ってる知識の言い合いだった。バーに通いだすとそういった雑学も増えていく。「お酒って楽しいよね。それぞれ意味があったり、色んな逸話があったりして」「それを考えて飲むとまた違った感じになるね」二人のバーでの会話はいつも弾んだ。彼女の機嫌が悪い時もバーで飲んでると自然と治っていた。バーという空間とお酒は大事なアイテムだった。「ねぇ、あれ何て読むの？」「パルフェタムールだよ」「何？」「すみれのリキュールだよ。一昔前は人気のリキュールだったみたいだよ」「意味あるのかな？」「さぁ？」二人の会話を聞いてバーテンダーが教えてくれた。「フランス語でパーフェクトラブ、完全な愛という意味です。17世紀には媚薬酒として売られていたらしいですよ。」彼女は目をまん丸に見開いて聞いていた。「お洒落な話ね。じゃぁ、それでカクテルお願いします。」無邪気な彼女に僕は笑顔だった。「ブルームーンです。一番有名ですかね」「何が入っているの？」「ジンとレモンと媚薬酒です。」「ジンなんだ、まさくんも飲めるよ」「ただ、出来ない相談という意味があります。」彼女は驚いたようにグラスから一瞬はなれた。「全然意味が変わるのね」バーにいる時間は楽しいひと時だった。</description>
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<pubDate>Fri, 09 May 2008 00:00:00 +0900</pubDate>

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<title>ダブルマチュワード-Sherry6</title>
<description>第三章　Third Order　サード・オーダー２アマレットの甘い香りが僕を落ち着かせた。時計を見ると9時を回っていた。「マスター、チェックおねがいします。」「案ずるより生むが安しっていいますから」マスターなりのエールだった。「また、報告しに来ます。」僕は笑顔で店を出た。寒さは本気モードで襲い掛かってきた感じだった。タクシーに乗り込んだ。「西麻布の交差点までお願いします」車窓からは金曜日で賑う街が続いていた。「まさくんは淋しくないの！」付き合いだして2年を過ぎた頃だった。会社の研修でアメリカに2週間行くという彼女がいきなり怒り出した。「淋しいけど、研修だろ？それに二週間じゃないか」「彼女が二週間もアメリカに行くっていうのに・・・」彼女は僕の事をまさくんと呼ぶ時は甘えたい時、人前では正孝と呼ぶし、たまにはマーくんって呼ばれる事もあった。「いつも、さやかには添乗行ってる時に淋しい思いさせてるから、ここは我慢しないとと思って・・・」「わかればよろしい、でもその間に添乗でアメリカとか入れれないの？」「ん～、LAやニューヨークなら可能性はあるけど、シリコンバレーは難しいかな」彼女はちょっとふくれて見せた。やたらと今日は機嫌が悪い。「毎日メールするよ。美味しいバーボンでもお土産に買ってきてよ」「行ってる間に浮気は許さないからね」「さやか嬢にぞっこんなのはわかってるでしょう」少し機嫌が治った。こういう彼女は愛しく思えるのは僕が大人になったからだろうか？彼女の仕事は順調で最近は勢力的だった。見た目もキャリアウーマンを思わせるほどきりっとしてきていた。少しずつ、外見は大人になっていく彼女。その反面、変わらない内面に僕は安堵していた。そのころから添乗よりも内勤が多なり、彼女の方が海外出張などで居ない時が多くなった。逢えない時間が愛育てる。何か歌の歌詞みたいだけど、本当にそうだった。僕は彼女が大切で大切でしかたなかった。</description>
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<category>NH</category>
<pubDate>Sat, 03 May 2008 00:00:00 +0900</pubDate>

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<title>ダブルマチュワード-Sherry5</title>
<description>第三章 Third Order  サードオーダー１時間は8時半を回っていた。まだセリフが決まらなかった。三杯目のオーダーを悩んでいた。「アマレットでもいきますか？」友達以上恋人未満かマスターの後押しに乗った。「ゴットマザーでお願いします。」彼女と付き合いだしてから自分がより優しくなれた気がした。元々、気性の荒いほうではない。妹がわがままだったせいもありそれに付き合ってきた僕は、優しいだの面倒見がいいだの言われていた。感情表現が下手は彼女には、よく振りまされた。おっとりしている様だが以外にズバッと意見をいってみたり、やたらと甘えたりする時があった。彼女は左利きだった。だからいつも座る位置は僕が右、彼女が左。歩く時もそうだった。左利きの当たり前の行動らしいが、実は支配欲の現われだと本で読んだ事があった。「来週はロンドンだから、帰ったら連絡するよ」「いいなぁ、ロンドンって。帰ってきたら例のバーに行こうね。それと、またツアー客に手をつけちゃダメだからね」「そんな事はしないよ」「うそだね、私に手つけたくせに」いつものツアー前の会話だった。銀座の「オープナー」のバーテンダーが独立した。彼とは僕が飲みだした頃からの付き合いなのでオープンには顔を出すつもりだった。場所は西麻布、店の名前は「エンドスケープ」「ごめん、仕事片付かなくて遅くなりそうなの。先に行ってて」「わかった、先に行ってるよ」最近は彼女に待ちぼうけを食うことが多くなっていた。彼女は大手のコンピューター会社のインストラクターをやっている。結構仕事は出来る様だった。西麻布の交差点を少し行った所にそのバーはあった。入り口には多くのお祝いの花が飾られていた。「いらっしゃいませ。竹原さんようこそ」店内は賑っていた。シックな家具が印象的だった。新店なのに何だか時を重ねたような雰囲気があった。「いい店造ったね。おめでとう」「ありがとうございます。席空けてますからどうぞ」「ごめん、彼女ちょと遅れてくるから」「さやかちゃん忙しい見たいですね」リザーブと書かれた札が置かれた席に座った。「では、ウエルカムシャンパンでも」「ごめん、シャンパンは彼女が来てからで・・・」彼女の好きなシャンパンを先に飲むと怒られる気がして、ジンリッキーを注文した。一時間ほどして彼女が現れた。「ごめんなさい。遅くなって」「お疲れ様」彼女は来て早々に仕事の愚痴を言い始めた。僕はギムレットを注文した。ひとしきり喋った事で気が納まったのだろうか？「で、ロンドンはどうだったの？」「さすがに寒かったよ。」「エールいっぱい飲んできたんでしょう」わがままと甘えたの両面が行き来する「また、行きたいなぁ。」10日ぶりに逢った彼女はそれでも何だか大人になっている気がした。それからしばらくして、僕は渋谷に移動になったこともあり、「エンドスケープ」には来る事が多くなっていた。</description>
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<pubDate>Sat, 26 Apr 2008 00:00:00 +0900</pubDate>

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<title>ダブルマチュワード-Sherry4</title>
<description>第二章 Second Order セカンド・オーダー２テールスープから立ち上る湯気を見ていた。32歳の男が緊張している。今日一日ずっとだった。バルベニーを口にして、タバコに火をつけた。彼女に逢ってから言う言葉を選んでいた。一般的は言葉にするか、それとも少しかっこつけた言い回しにするか。悩みは尽きなかった。テールスープはここの名物だった。しっかり時間をかけて煮込んである。あせらずゆっくりとだ。寒い季節には身も心も温まるスープだった。「皆さんお疲れ様でした。家に着くまで気をつけてくださいね。今後も当ツーリストをよろしくお願いします」無事に成田に帰ってきた。大きなトラブルもなくホッとしていた。「竹原さんありがとうございました。楽しい旅行になりました。」高橋夫人が温かい言葉をかけてくれた。「一度、食事にでも行きましょう。さやかちゃんも一緒にね」「ハイ、喜んで。旅行中はありがとうございました。必ず連絡しますね」高橋夫妻と彼女は随分と仲良くなっていた。「竹原さん、映画の約束忘れなでくださいね。」「了解です。電話させてもらいます。」その時はよくある光景だと思っていた。ツアーで何日も一緒に行動するとある種の連帯感が生まれ、別れ際にこういう会話になる事がよくある。しかし、今回のツアーは高橋夫妻と彼女のおかげで随分楽しめたのは事実だった。成田から会社に戻り、報告をした後、僕は家路についた。時差ぼけは何回行っても慣れないものだった。翌日、メールの着信音で目を覚ました。「おはようございます。時差ぼけは大丈夫ですか？私は元気に出社しています。映画の約束ですが、来週あたりどうですか？都合を教えてくださいね。今日も元気に頑張りましょう。　　　さやか」以外と女の子らしいメールに驚いた。僕は返信した。「お疲れ出てないですか？私はお休みです。早速出勤ご苦労様です。映画の件ですが、当分添乗がないのでいつでもOKです。銀座あたりなら仕事終わりでも行けそうなので金曜日あたりどうですか？　　　竹原正孝」彼女からの返信は驚くほど早かった。金曜日、マリオン前で18時半だった。何だかワクワクした気持ちになった。５つ下の彼女は、僕から見れば妹のような存在かもしれない。でも、何だか違う感覚だった。感情表現が下手なように見える彼女だが時折見せる笑顔が温かく思えた。子どもの様な所と高級ブランド好きという今時の女性の両面を持っている。興味をそそられる存在だった。金曜日、お気に入りのネクタイをしめて出勤した。朝から仕事を精力的に片付けた。今日は残業だけはしたくなかった。6時ジャストに走るように会社を出た。さすがに、金曜日という事もあり街はかなり賑っていた。待ち合わせの１０分前にマリオンの前に着いた。僕はわかりやすいであろう場所を探してそこで待った。女性と映画に行くのは久しぶりだった。映画は空いた時間に一人で行くものといつの間にか決めていた。「ごめんなさい、待ちました」そこに立っていたのは、ツアーの時は違う大人びた感じの彼女だった。「今来た所ですよ。それにまだ時間前です。」選んだ映画は「いま、会いにゆきます」だった。話題の作品だった事もあってか、かなり込み合っていた。映画終盤は涙の洪水だった。「泣きすぎですよ、竹原さん。」彼女は笑いを隠すように言った「ごめんね。でも鈴木さんもけっこうでしたよ」二人の会話は途切れる事は無かった。並木通りのビルの3階にある創作和食の店に行った。映画の話やロンドンやフランスでの話しで盛り上がった。終電までには少し時間があったので一軒飲みに行く事になった。学生時代から行き着けのバー「オープナー」に足を向けた。細い階段を地下へと下りるとガラス張りの扉を開けた。「いっらしゃいませ」キリッとしたベスト姿のバーテンダー達が一斉にこちらを向いた。「いい店ですね」彼女は子供のように店内を見回していた。「銀座にしてはリーズナブルで、居心地のいい店ですよ」僕はハイボールを注文し、彼女はお任せのカクテルを注文した。不思議なくらい彼女と一緒に居る事が自然に思えた。僕は彼女と呼べる女性がいつからいないのだろう？大学を卒業した後、アパレルに就職したが先輩に誘われて今の会社に移って3年になる。考えれば、今の会社になってから居ない様な気がする。どうしても、添乗で不規則になる事も多くなかなか相手のスケジュールも合いにくい。それを居ない理由にしている気もしないではないが、仕事が楽しくそれ所ではなかった感もある。僕達の前には小さな泡を立てたグラスと大ぶりのカクテルグラスが置かれた。「へぇ～ゴルフやってたの、僕はそっちはからっきしダメです」「会社に入ってからはあまり行けてないですけどね」話するたびに見た目のイメージと違う彼女が見れて、ある意味惹かれていく自分を抑制する事が出来なかった。残ったハイボールを飲み干した時、彼女も一杯目のフルーツマティーニを飲みほした。「もう一杯飲んで帰りましょうか？」「じゃぁ、私オロロソでしめます。」「鈴木さんって本当にお酒強いね。」彼女は照れ隠しに僕の左の二の腕を軽く押した。終電の時間を気にしつつも、もう少し彼女と居たいと思う気持ちが強くなっていた。お互い、お酒が入ったせいもあったのだろうか、自分の事を色々話した。「そろそろ行きましょうか」「そですね」何だか彼女が残念そうに見えたのは僕の勘違いだろうか？駅に向かう道すがら、だんだん淋しくなっていく自分を感じていた。街は金曜の夜、まだまだ人は多かった。「今日は本当に楽しかったです。ごちそうさまです。」「いえいえ、こちらこそいい夜でした。」お互いが突っ立ったままだった。「鈴木さん、また、逢えますか」「もちろんです。ただ、鈴木さんって言うのはやめてください。さやかでお願いします。」はずかしそうな彼女が愛しく思えた。「いきなりだけど、付き合ってもらえたりはしますか？」「もっとはっきり言ってください」強い眼差しだった。「好きになりました。付き合ってください。」28歳でこんな告白するとは思わなかった。でも、彼女がそうさせた。彼女の表情が一瞬明るくなった「ハイ！」この笑顔は僕の宝物になった。</description>
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<pubDate>Sun, 20 Apr 2008 00:00:00 +0900</pubDate>

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<title>ダブルマチュワード-Sherry3</title>
<description>第２章 Second Order　セカンドオーダー１二杯目にバルベニー12年を注文した。何かお腹に入れようと思ったが、あまり食欲もなく迷った末にテールスープを頼んだ。「ダブルマチュワードですか？シェリーとポートの様な関係になれたらいいですね」マスターはそう言うと綺麗にカットされた氷が入った琥珀色に輝くグラスを差し出した。ダブルマチュワード、熟成の最後に違う樽で寝かせるお酒の作り方。複雑に絡み合う最初の樽の風味と最後の樽の風味、それが他にない一杯の味を生む。僕の今までの人生と彼女の今までの人生、上手く絡み合って1つになれるだろうか？「マスターは・・・いや、いいです」言いかけてやめた。「まじめに誠実に、それが私のモットーです。」マスターには僕の気持ちを見透かされているみたいだった。グラスの琥珀色は複雑さを増しているみたいだった。パリでの最後の夜はバーで締めようと思っていた。「何処に行きますか？」「ホテルを出たちょっと先に古くからやっているバーがあるのでそこへでも行きましょうか」二人でサンジェルマンの街を歩き出した。少し肌寒い感はあったが、ワインで火照った身体には心地よく思えた。そのバーは古めかしい木の扉が凄く似合う外観だった。中に入ると多くの地元の人たちが飲んでいた。僕たちはテーブル席に座った。「何を飲みますか？」「シャンパンが飲みたいです。」僕はバーテンダーにグラスシャンパンを2杯オーダーした。「このツアーはどうでしたか？」「思ったより楽しかったです。正直に言うとウィスキーの蒸留所ってあまり興味は無かったけど、そこにロンドン、パリって面白いかもって参加したんです」「楽しかったと言ってもらえて幸いです。」二人のテーブルにシャンパンが運ばれてきた。銘柄はテタンジェだった。彼女はシャンパン好きみたいで美味しそうに飲んでいた。「竹原さんは何がお好きなんですか？」「お酒は全般好きです。大学の時にバーにはまってしまって、お酒好きというよりバー好きですかね」彼女がこんな表情が豊だったんだと思いながら話をした。「でも、お一人での参加というのは勇気ありますね。」彼女は少し戸惑う感じでうつむいた。気まずさに次のオーダーをした。二杯目はサンジェルマンにした。「サンジェルマンって何ですか？」僕は話を変えるべくサンジェルマンの説明をした。「へぇ～、ジンベースですか」「僕はジンベースのカクテルが好きなもので」その後はお互いどちらからともなく自分のことを話し始めた。僕が恋愛映画好きで「ノッティングヒルの恋人」ファンだったのでロンドンではノッティングヒルにホテルをとった事や、根っからのサッカー馬鹿だと言う事。彼女は別れた彼氏を忘れるための海外旅行だった事や実は甘えん坊だということ。時間はあっと言う間に過ぎた。バーの雰囲気もよく、それが時間の感覚を鈍らせたのか、会話に夢中になったのかはわからない。「時間も時間だし、最後に一杯飲んで帰りましょうか？」「最後は何にしますか？」二人は悩んだ。「そうだ、お互いの好きな物でカクテル創ってもらいましょうか」「それいいかも？じゃぁ、私はシャンパンで」「僕はジンで！」バーテンダーにそのむねを伝えた。お互いワクワクしながらカクテルが出てくるのを待った。数分後、テーブルに運ばれてきたカクテルはシャンパンかと思う外見だった。「フレンチ７５だって？」お互い半信半疑で口をつけた。「おいしい」「ホントに、ジンが効いてる」最後のカクテルが思わぬ物で二人は感動した。まさに女性的なカクテルのネーミングだが、実は大砲の口径の事だと後で知った。でも、二人にとってサンジェルマンで飲んだ「フレンチ７５」は思い出の一杯になった。僕は彼女に何だか暖かい気持ちを感じていた。</description>
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<pubDate>Sat, 12 Apr 2008 00:00:00 +0900</pubDate>

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<title>ダブルマチュワード-Sherry2</title>
<description>第一章　First Order ファースト・オーダー２彼女とは、僕が企画したツアーで知り合った。バー好きがこうじて「ウィスキー蒸留所見学ツアー」を企画し、その添乗員も勤めた。スコットランドで蒸留所を見学し、ロンドンのパブを巡り、最後はパリでワインという企画だった。企画はよかったが、蒸留所見学が予定より少なくなり苦肉の策でパブとワインをくっ付けた。参加者は2０名男性が中心だったが、女性も何人かいた。その中に若い女性はたった一人彼女だけだった。グループでの参加も多かったので、単独の若い女性参加の彼女には興味を引かれた。ツアーコンダクターとして、一人での参加の方にも楽しんでいただく事も大切だと考え何かにつけ彼女に接した。最初にスコットランドで蒸留所を見学したあと、ロンドンでパブ三昧、そしてフランスはパリへ。すでに出発から4日も経っていた事とロンドンパブでのエール三昧で参加者の皆さんと大分打ち解けていた。パリでは基本自由行動だったので、グループで参加の方はそれぞれのコースで出かけていった。私は定年退職の記念旅行で参加された年配の高橋ご夫妻と朝のカフェの後、一緒に買い物に行くことになっていた。「あの、竹原さん私もご一緒させてもらっていいですか？」彼女からの申し出があった。「どうぞ、私の案内でよろしければ」彼女はすごく感じがよく、参加者にも人気だった。僕たちは朝ごはんにカフェに行った。「パリの基本はクロワッサンにカプチーノです。それで皆さんよろしいですか？」「もちろんです。」4人で旅行を振り返ったり、この後の予定を話したりしながら朝のひと時を過した。おとなしめの彼女はさほど感情を見せる事は無かったが、時折みせる笑顔の奥の淋しげな感覚が気になった。「竹原さんはよくパリにはいらっしゃるのですか」「パリは三回目です。僕はロンドンの方が多くて今回の企画は僕が立てたのですが、パリに行きたくて無理やりねじ込みました。」正直な方だと高橋夫妻は笑っていた。オープンカフェから見える風景にはゴールデンウィークと言う事もあり日本人も多く見受けられた。「鈴木さんはお買い物の希望はありますか？」「せっかくなので、ブランドを見たいのですが・・・」意外だと思った。てっきり何か可愛い雑貨のお店とか言われると思っていた。「さやかちゃんはブランド好きみたいね。私と同じでよかったわ。」高橋夫人がやさしい笑顔で言った。言われてみれば、彼女の持ち物のあちこちにブランドのマークが踊っていた。「では、パリでの買い物に当たってルールを、必ず挨拶をして入店してください。そして他のお客様が居る時はこちらからは話かけない事、そして最後も挨拶です。ボンジュールとメルシーです。」僕はこれからのルートを説明した。メトロよりバスと船が便利なので観光ついでに行くことを提案した。「では、一日よろしくお願いします。」その日は天気もよく、パリをみんな楽しんでいた。凱旋門、エッフェル塔、サンジェﾘゼ通りと観光し買い物を楽しんだ。高橋夫妻は本当にいい方で僕は仕事だという事を忘れるくらいだった。ランチはセーヌ川のほとりのビストロで済ませた。「何だか子供達と旅行してるいみたいで楽しいわ。」高橋夫人は食後のエスプレッソを飲みながらいった。「私も本当に楽しいです。」彼女の笑顔がだんだん変わってくる感じがしていた。「では、昼からは買い物三昧といきます。」「竹原くんと私は荷物持ちだな、ハッハッハ」高橋さんが大声で笑った。僕達もつられて笑いあった。ヴィトンにエルメス等など、ブランドショップを渡り歩いた。僕は一応、仏語は出来るので通訳しながら付き添った。彼女も少しは喋るようで悪戦苦闘しながらコミュニケーションをとっていた。「それは彼女にですか？」ポーチを見ていた僕に彼女が肩越しに話しかけてきた。「いえいえ、妹にです」「妹さんですか、やさしいお兄さんですね。」「５つ下なんですが、うるさいんですよ。パリだと言ったらリスト渡されました。」「５つ下ですか、私と同じ歳かな？一人っ子の私にはうらやましい話です。」「鈴木さんみたいな妹だったらよかったですけどね」「ツアコンってお世辞も言うんですね」彼女の笑顔が明るくなっていた。午後5時そろそろホテルへ帰る時間だった。僕達は沢山の紙袋をもってバスに乗った。「今日は満足満足」高橋夫人は笑顔で買い物したものを眺めていた。「私も満足です。美味しい食べ物と観光に買い物、贅沢の極みです。」「竹原君のおかげだよ」「ありがとうございます。そう言ってもらえるとうれしいです。」ホテルに戻ると僕はツアコンとしての業務に追われた。午後7時に夕食、ホテルのレストランでのこのツアー最後の晩餐です。皆がそれぞれ今日の観光の事を喋りながらワインを飲んでいた。無事にツアーが最終日を迎えられて僕は少し安堵していた。「皆さん、パリの夜はまだまだ長いですが、明日の集合時間だけはよろしくお願いします。」夕食のあと皆、最後のパリの夜を満喫しに出かけた。「竹原さん、この後はどうされますか？」「明日の段取り確認したらバーにでも行こうと思っています。」「ご一緒しても・・・」彼女の笑顔は可愛くなっていた。</description>
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<pubDate>Fri, 04 Apr 2008 00:00:00 +0900</pubDate>

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<title>ダブルマチュワード-Sherry1</title>
<description>DOUBLE MATURED - SHERRY前書き第一章 First Order ファーストオーダー１　会社を出たのが６時ちょうどだった。先週くらいから寒さはピークって感じで雪もよく降るようになっていた。僕はコートの襟を立てて寒さをこらえながら人ごみを歩いていた。今夜は彼女と待ち合わせをしている。僕から「逢いたい」といって約束をした。２３時に「エンドスケープ」で！お互いの仕事の終わる時間に余裕を持っての事だったが、それとは別に少し気持ちの整理をする時間が必要だった。彼女と付き合いだしてもうすぐ４年になる。僕も３２歳になり、仕事も安定してきた。そろそろ次のステップを求めてもいい時期かなと思い始めていた。待ち合わせは西麻布、俺は渋谷駅を超え六本木通り面したバーに向かっていた。そこで一杯飲んでからタクシーで行けばいいと思っていた。その店は仕事帰りにちょくちょく立ち寄るバー「ストーンフラワー」だった。バーテンダーは世界チャンピオンというお店だった。「いらっしゃいませ」店内は６時過ぎだと言うのにかなり賑っていた。マスターがカウンターの空いてる席に誘導した。「こんばんは」「竹原さん、今日はお早いですね。」オーナーバーテンダーの西垣さんがいつもながらにきっちりとしたベストにネクタイ姿で前に立った。「今夜はこのあとに大仕事があるので少し早めにここでリラックスしようと思いまして」西垣さんは笑顔で何かを察してくれた感じだった。僕はスコッチハイボールを注文した。ビールが苦手な僕の一杯目はこれに決めていた。小さく細かい泡が無数に上がっていくのを見ると、何だか心が落ち着いた。僕がバーに来るようになったのは、大学２回生の頃だった。居酒屋しか知らなかった頃、同級生にちょっと大人びた奴がいて初めて連れて行ってもらった。普段の自分には無い世界がそこには広がっていた。少し憧れはあったのでそれからはバーにはまった。「今宵はXデーって感じですか？」「そのつもりなんですが・・・」「ゆっくり気持ちを整理していってくださいね。」バーに来る理由、お酒を飲みに来るのはもちろんだけど、気持ちの切り替えや、悩みの解消の糸口を見つけになど色々ある。僕と彼女の4年あまりが詰まったバー。その店がバー「エンドスケープ」だった。思い出の詰まったお店で結論を出すつもりだった。</description>
<link>http://usukebanovels.usukeba.com/e16785.html</link>
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<category>NH</category>
<pubDate>Sun, 30 Mar 2008 01:00:00 +0900</pubDate>

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<title>前書き</title>
<description>新しくブログを立ち上げました。ひょんな事から、コラボ小説を書く事になりました。NHとPINOKOのコラボです。1つの物語を男性側（Sherry）女性側（Port）の二作品で書き進めていきます。同じ物語が、違う感情で進んでいきます。ウスケバという事でバーとお酒を中心に話は進んでいきます。いつもお目にかかってるブログとはちがいますが、お付き合いください。素人小説ゆえに至らぬ所も山の様にあるかとは思います。どうぞ最終話までお付き合いください。NH</description>
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<category>NH</category>
<pubDate>Sun, 30 Mar 2008 00:00:27 +0900</pubDate>

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